2015年5月15日で長女が生まれて10年になる。当然ボクが「親」というものになって10年になる日だ。
彼女が生まれてから今日まで、日本や世界ではいろいろな事が起こってきた。…って言うとちょっと大げさな表現になっちゃうけど、兎にも角にも無事にこの日を迎えられたことを本当に嬉しく思っている。
丁度良い機会と思い、長女の10歳の誕生日に「親」として10歳の誕生日を迎えたボクが思っている事をこのブログに残しておこうと思う。
昨日食べた夕食のメニューはすぐ忘れるものだけど、彼女が生まれた10年前のあの日の事はいつでもすぐに思い出せるから不思議だ。その位大事な出来事だからなのだろうけど。ただ何のトラブルも無く無事に生まれてくる事でさえ『奇跡』だと思うのだが、彼女の場合、無事に生まれてきたのは『奇跡の奇跡』と言っていい位の事だったように思う。そして今日まで元気に生きてこられたのもそうだ。
彼女が家内のお腹にいる事を知ったのは、家内が「肺気胸」を患い、緊急入院して数日が経ってからの事だった。
病院に運ばれたから、レントゲンを撮ったり、いろんな検査をしてからの事だったので、本当にゾッとした。下手をすれば生命の保証は無い位の事だったと思う。しかし、彼女は奇跡的に生きていた。それから、ボクと家内の間で、無事生まれて来ることが出来るのか、生まれても無事に育っていけるのか、そんな不安ばかりが頭を過り、祈るように生活していたように思う。
そんな不安をよそに、彼女は家内のお腹の中ですくすくと成長し、特に異常がないままに10ヶ月が過ぎて行った。
家内が患っている「肺気胸」はいつ起こるとも限らない病なので、大事をとってたまたま近くに大学病院があったので、そこに入院をし、できるだけ万全の体制で出産できるように臨んでいた。そして、その時の前日(5月14日)を迎えた。
その日のボクは、とあるレンタルビデオ店の店長として、今とは違う場所で忙しく働いていた。勤務時間もバラバラで夕方〜深夜まで勤務し、その次の日は朝〜晩まで勤務という日もザラにあり、働いているうちに慣れはするけどもそんな生活が長く続けば体を壊す可能性はある。まさに、体調が悪いどん底の状態の時を過ごしていた。(彼女が生まれてから十二指腸潰瘍である事がわかったのだったw)
体調不良がたたり、その日は早退させてもらい、早めに休もうと思っていた。夕食を食べた直後、1本の電話が。家内から破水したとの連絡だった。
不思議なもので、いくら体調が悪くても、自分の子が生まれる時はそんなのが即時に頭から消えるものだ。急いで病院へ向かった。その時は冷静でいられず無我夢中で無意識に近い位だったのであまり覚えていないが、ビデオカメラを忘れずに持って行っていたのは今思い起こすと笑えるw
控室で妻にずっと付き添っていたが、なかなか「その時」は来ない。「陣痛が起こってしばらくすると落ち着く」の繰り返しが何時間か続く。その間に他の妊婦さんが分娩室に運ばれ少し経つと産声が聞こえてくる。
いつの間にか夜が更けようとしていた。流石に病院に何時間もいると落ち着いて来たのか強烈な眠気が襲ってきた。でも陣痛の波が来ると、無意識に家内の腰を擦るボクがいる。家内も大変なのに「大丈夫?」と少し困り顔で気遣ってくれた。
何回繰り返したのだろう。と思う中、とうとう「その時」は来た。
分娩室に入り、何かのドラマで見た事があるシーンと同じ事が起こっている。家内が大変な思いをしている中、ボクは家内の手を握り、「頑張れ」としか言ってあげられない。祈ることしかできない。こんな時、男なら誰もがこう思うだろう。「こんな時、何もしてあげられない。男ってなんて情けない生き物だろう。」と。確かにそう思う。でもだからこそボクにできる事は全部してあげたい。そう思って、全力で手を握り、絶え間なく「頑張れ」と励まし、これ以上ない位家内と彼女の無事を祈った。
そして、彼女とボクらが出会う事ができた。2005年5月15日。少し雨が降ってきそうな曇りの日の朝だった。
それから、1年、2年…同じ時を泣いたり笑ったり過ごしてきて、心配していた事がウソのように、他の子より体は小さいけど病気をする事無く丈夫に育ってくれて本当に良かった。今も日々成長している。本当に嬉しいと思う。
じゃあボクは。この10年「親」として成長してこれたのだろうか。ボクは彼女にとっていい父親だっただろうか。ボクとしてはもっと彼女にしてあげられる事は沢山あったと思う。でも、時に仕事のせいにしたり、何かに理由をつけては何もしない父親だったかもしれない。
ただ、それが正解か不正解かの答えは無いと思っている。敢えて答えを出すのであれば、それはまだもっともっと先の話で、ボクが出すのではなく大人になった彼女に出してもらおうじゃないか。そう思う。
だから、大人になった彼女から感謝してもらえるかはわからないけれども、そうなれるように少しでもいい。彼女の成長と共にボクも「親」として成長したいと改めて思っている。
10歳の誕生日おめでとう。元気に育ってくれて本当にありがとう。言いたいことはいろいろあるけど、それはまたあとで話そうか。
2015年5月15日 10年前と同じ、少し曇った日の朝に。 頼りないお父さんより。
へば、まんつ〜!